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2022.07.15

上手に麻と付き合って、涼しく夏を過ごしましょう!

麻の歴史はとっても古く、紀元前5000年には、エジプトでは麻が栽培されていて、
麻布が作られていたそうです。
紀元前2500年のエジプトの王のお墓には、麻栽培の壁画があったり、
ミイラの包帯も麻だったりと、古くから親しまれていたようですね。
日本では縄文時代から栽培され、衣料、食料、紙用、医療用など多く使われていました。
また、家紋の中にも“麻紋”といわれるものもあるそうです。

少しでも涼しく過ごそう。麻素材
「麻」と言っても、その種類は多く、亜麻(あま=Linen,Flax)、苧麻(ちょま=Ramie)、
黄麻(おうま、こうま=Jute)衣料にもつかわれたりする大麻(大麻=Henp)や、
ほかにもサイザル麻やマニラ麻などもありますね。
たくさんの種類があるんですが、家庭用品品質表示法によると「麻」と表示できるのは
亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)だけなんですよ。
亜麻(リネン)の苧麻(ラミー)の違い
リネンは一年草で、原産地は小アジア地方といわれていますが、
現在では主にフランス北部・ベルギーなどの比較的に寒い地方が多いようです。
毎年同じ土地で連作すると収穫量が減り、品質も低下するので、
6~7年の輪作を行います。
4月頃に種子をまき、7~8月に抜きとって収穫されます。
茎はマッチの軸位の太さで、1m程の高さに育ち、先端には白または紫色の花が咲き、
やがてボール状の実をつけます。
ちなみに実からは、ペンキや印刷インクなどに使われるリンシードオイルが取れるそうです。
茎の表皮と木質部の間に繊維の束が並んでいますね。
ヨーロッパでは長い歴史の中で、リネン文化といわれるものがあるそうです。
例えば、「ホームリネン」といえば シーツ、ピロケース、パジャマ、バスタオルなどを指し、
「テーブルリネン」といえば、テーブルクロス、ナプキンなどを指します。
このようにヨーロッパでは、豊かな心地よいライフスタイルに欠かせないものとして、
生活に密着しているんですね!
ラミーは、熱帯、亜熱帯地方で成育します。
主に中国、ブラジル、フィリピン、インドネシア等で栽培されていますが、
量的には中国が格段に多いようです。
ラミーは多年生の植物で、種蒔は行わず、主として株分け法、吸枝法、
挿木などで栽培していくそうです。
これらは2~3年後にはじめて実用的な繊維が採取出来る状態になります。
良質な繊維を得るためには、古くは一度出た新芽に火をつけて焼くことや、
刈り揃えることで、次に出て来る芽を育てた栽培もされていました。
成育期間は、地方ごとに異なりますが、中国では年間3~4回の収穫、
フィリピンでは5~6回の収穫が出来るそうです。

麻素材のトラブルといえば
昔、麻素材が市場に登場し出した頃は、デパートによくクレームがあったそうです。
「少し着ただけで、シワシワになってるじゃない!恥をかいたわ!」ってね。(+o+)
販売する側も購入する側も、繊維の特徴を知らなかったんでしょうね!
天然素材として、優れた性質を持っているのですが、麻はクセが強いので、
敬遠されがちですね。
だから、身につける時は特徴をちゃんと理解してあげないと、
「あれ??」って事になっちゃいますよ。
◆◇◆ メリット ◆◇◆
・吸水、発散性に優れています。
天然繊維の中で、最も吸湿、速乾性に優れ、汗をかいてもベトつかず、
汗離れが良いです。
また、熱伝導率がいいので、清涼感がありますね。
・丈夫でコシが強い。
天然繊維の中で最も強靭で、水に濡れるとさらにその強さを増す性質があります。
・独特の光沢感、発色性を持っています。
ヨーロッパの女性の美しい髪を「亜麻色の髪」と表現するように、
麻糸の持つ独特な光沢感は古くから知られています。
また、白度も高く、染料が繊維の表層に高密度で集積する為、
他の繊維に比べ、発色が良いという利点を持っています。
◆◇◆ デメリット ◆◇◆
・シワになりやすい。
伸長率乏しいという特徴があります。
これは繊維の復元性が悪いということですので、シワが回復しにくいということです。
また、メリットで述べた発色性がよく、織物の表面に光沢があることも
シワの陰影を目立たせる原因のひとつです。
・濡れるとゴワゴワになる。
濡れると強靭さが増すという特徴から、汗に濡れた部分が堅くなり、
表面が寝た状態になってしまいます。
その結果、ゴワついた肌触りになる事があります。
でも、これはグレードの高い物ではまず起こらない現象だと言われています。
・濃色は、着ている内に表面が白っぽくなる。
黒や紺などの、濃い色目は摩擦の影響を受けやすく、白っぽく褪色する事があります。
これは、フィブリル化といわれる現象です。
また、染料がフィブリル層より下まで浸透しにくい事で、染まっていない中心部が露出するため、
症状に拍車をかけているようですね。
フィブリル化についてはコチラ

麻素材自体は丈夫で水洗い出来る組織なんですが、
商品になった場合に織りや編組織により、取り扱いが異なってきます。
なので、風合いを維持するためにはドライクリーニングが最適ですね。
購入する時には、メリットとデメリットの両方を知っておきたいものですね!

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